なぜ、元システムエンジニアは、最強のバスケ指導者になれたのか?
あなたの会社に、たった一人、思い浮かべてほしい人がいます。
それは、圧倒的な成果を出しながらも、自分のやり方を「感覚だから」としか説明できない、職人気質の技術者かもしれません。あるいは、誰よりも会社の歴史を愛し、その精神を「当たり前だ」として、黙々と体現し続けるベテラン社員かもしれません。
彼らの頭の中にある、言語化されていない「暗黙知」。 彼らが日々繰り返す、マニュアルには書かれていない「当たり前の努力」。
それこそが、あなたの会社の魂であり、競合他社が決して模倣できない、最も尊いアナログ資産です。しかし、その「宝」は、その人にしか開けられない金庫の中で、静かに眠ってはいないでしょうか?
今日お話ししたいのは、一人のバスケットボール選手が、その金庫の鍵を自ら作り出し、個人の「感覚」を、誰もが学べる「知的資産」へと見事に再デザインした物語です。
それは「天才」ではない。「探求」の記録である。
中川直之氏。学生・社会人時代を通じて、10度の日本一。その輝かしい経歴だけを見れば、誰もが彼を「天才」と呼ぶかもしれません。
しかし、彼の本質は、そこにはありません。 彼は、恵まれた身体能力だけで勝利してきた、天才タイプではありません。彼は、誰よりも深く、バスケットボールという競技の「理(ことわり)」を問い続け、「どうすれば、自分のような選手が、もっと大きな相手に勝てるのか?」という問いの答えを、人生をかけて探し続けた、真摯な探求者です。
相手の重心、味方の呼吸、勝負所の流れ。彼が体得したそれらは、天賦の才ではなく、膨大な時間と思考を費やして積み上げた、 アナログな「探求の記録」 なのです。
二つのOSが、一つの身体で融合する。
彼の物語が、他に類を見ない次元へと昇華するのは、ここからです。 大学バスケの頂点を極めた後、彼は、 システムエンジニア(SE) として、日中はロジックとシステムの世界に身を置きます。そして仕事後は、トップレベルの社会人選手として、公園やコートの上で、その思考を実践し、検証し続ける。
彼の頭の中では、二つのオペレーティングシステムが、常に並行して稼働していました。 一つは、身体の動きや相手の心理といった、言語化できない アナログな「感覚のOS」 。 もう一つは、構造やアルゴリズムといった、誰にでも理解可能な デジタルな「論理のOS」 。
そして、その二つのOSが完全に同期し、融合したとき。 社会人バスケでの「日本一」という、驚異的な結果が生まれます。システムエンジニアでありながら、彼は、コートの上でも頂点に立ったのです。
これは、キャリアの「転身」ではありません。 これは、彼という一人の人間の中で起きた、奇跡的な 「翻訳」と「融合」のプロセス そのものでした。
「正しい努力」を、誰もが実行可能な「アルゴリズム」へ。
指導者となった今、彼の頭の中には、完成された「翻訳システム」があります。 彼の指導を受けた誰もが、その「分かりやすさ」に衝撃を受けます。
彼は、「こう動け」とは言いません。 「相手がこう動けば、守備にいくつかのエラーが起きる。その歪みを突くための最適解はこれとこれがあり、その中で最も確率が高いのはこれだ。なぜなら…」 というように、自らが繰り返してきた 「正しい努力」を、誰もが理解できる「思考のアルゴリズム」として解説します。
そして、その論理的な指導法を、全国を巡るクリニック、書籍、そして日本最大のオンラインバスケ塾「考バス」というデジタルなプラットフォームに乗せて、「特別な才能がなくても、正しく考え、努力すれば、必ず道は開ける」という希望を、指導者や親御さん、子供たちに届けています。
あなたの会社の「当たり前の努力」に、光を当てる。
さて、あなたの会社に、話を戻しましょう。
あなたの会社には、まだ言語化されていない「当たり前の努力」や「譲れない一手間」といった、素晴らしいアナログな企業文化が、眠っていませんか? そして、それを「個人の感覚」として、その本当の価値に光を当てることを、忘れてしまってはいませんか?
私たちDisilogの仕事は、その属人化された「当たり前の努力」の中に眠る、普遍的な価値を発掘し、誰もが理解し、共感できる、会社の「知的資産」へと再デザインすることです。
その「当たり前」こそ、競合他社には決して真似できない、あなたの会社の最強の武器なのですから。 その光の原石を、私たちと共に、磨き上げてみませんか。